
今日は、依頼人にお宝をお返しする日だわ。
怪盗バタフライ仮面は、ある老婆から依頼を受け、海賊船に忍び込んで、
海賊たちから取り戻したお宝を持って、アジトで待っていました。

でも、これって一体何なの?
浦島がなんとかって言ってたけど……。
お宝を色んな角度から見てみますが、何に使うのか全く分かりません。
その時、お宝を落としてしまいます。

あっ!
地面に落ちた衝撃で、モクモクと煙が出て来ました。

えっ!
これって、もしかして玉手箱の一種?
煙がバタフライ仮面を覆います。

キャーッ!
おばあさんになるなんてイヤだーっ!
まだ若いのにーっ!
悲鳴を上げるバタフライ仮面でしたが、煙が収まった後、
身に付けていた手袋やブーツを見ると、いつもと形が違っていました。
恐る恐る鏡で自分の姿を見てみると、なんと魔法使いの格好をしているではありませんか!

えっ?
私、魔法使いになったの?
イラスト by ねもこ様
そこへ依頼人である老婆が訪ねて来ます。

あっ、おばあさん。
じ、実は謝らなくてはいけない事があるの……。

どうした?

さっき、お宝を落として壊しちゃったの。
本当にごめんなさい。

ホッホッホッ、いいんじゃよ。

えっ?

あのお宝は、浦島の秘宝と言って、
一晩だけ人を魔法使いにするのじゃ。

それで私はこんな格好を……。

もし、浦島の秘宝が海賊たちに使われていたら、
世界を乗っ取られていたかもしれん。

やっと依頼の理由が分かったわ。

じゃが、使った者が義賊で良かった。
魔法使いの衣装も良く似合っておるの~。

いやだ~、おばあさんたら。
そんなに褒められると照れ臭いじゃない。

もう要件は済んだ。
一夜限りの魔法使いを楽しむがいい。

怪盗もいいけど魔法使いも刺激的。
今夜は何をしようかな?