女子中学生怪盗セイント・シーフは、幻のティアラを求めて
盗賊のアジトに忍び込んでいました。

これが幻のティアラね。
いっただきっ。

コラッ、待てーっ!

だ~れが待つもんですか。
セイント・シーフは、アジトの中を疾風のごとく駆け回ります。

くそっ、なんて逃げ足の速さだ。
しかし、アジトの構造をよく分かっていなかった為、逃げ場を失ってしまいます。

しまった!
行き止まりだわ。

お嬢ちゃん、もう逃げられないぜ。
いい子だからそのティアラを返してもらおうか。

イヤよ。

言う事を聞かない子はお仕置きだぜ~。
襲い掛かる手下でしたが、セイント・シーフの抜群の跳躍力の前に
顔面から壁に激突してしまいます。

ぐへーっ!

あ~ら、ごめんなさいね。
こんなに高く飛んでしまって。
頭上の梁に猿のように片手1本でぶら下がります。

でも、出口はどこかな~?
そして、横を見ると壁にぽっかりと穴が……。

何なの、この穴?
中を覗いてみます。

下の方に続いているようだけど、一番下までは暗くてよく分かんない。
そして、気を失っていた手下の意識が戻りかけます。

いけないっ、こうなったらココに飛び込むしかないわ。
神様、どうか私をお守り下さい。
祈りを捧げると、セイント・シーフは、その穴の中へ……。
彼女が飛び込んだ穴は、なんと以前まで使われていたダストシュートの投入口だったのでした。
そして、手下の意識が戻りますが……。

チッ、あの娘、一体どこへ行きやがったんだ。
しばらくは辺りを探し回っていましたが、ダストシュートの存在を
すっかり忘れていた手下は、それに気付かず引き上げてしまいます。
そして、気になるのは数メートル下まで真っ逆さまに落ちたセイント・シーフです。
しかし、ダストシュートの最下部には大量の発砲スチロールが積まれてあった為、
それがクッションとなって傷一つ付かずに済んだのでした。

やったーっ!
私って超運がいいーっ。
そして、奪ったティアラを着けてみます。
イラスト by ねもこ様

へへへっ。
お姫様みたいで、もう最高!
荒削りではありますが、お宝を奪う事に成功した怪盗セイント・シーフなのでした。