静まり返った夜の校舎。

 

一般的な私立高校であり、実際にそのように運営されている。

 

しかし、この学校には、もう一つ裏の顔があった。

 

真っ暗な用具室の床に目を凝らすと、寄木細工のようなパズルがある。

 

聞いた通りにそれを解くと、地下へと続く鉄の扉が現れた。

 

伝説の怪盗王が設立したという「怪盗学園」の噂は耳にしていた。

 

名のある怪盗達の子供が世界中から集まり、学校に通いながら

一人前の怪盗となるべく厳しい訓練を受けているのだと……。

 

その怪盗学園が、この扉の先にある。

 

だが、なぜ怪盗バタフライ仮面はこのような所に来たのか?

 

決まっている、怪盗が忍び込むのは、いつだって「盗む為」だ。

 

学園から挑戦状を叩き付けられたのだ。

 

【伝説の怪盗王の宝を盗み出してみよ】と……。

 

それを生徒達に妨害させる実践型の試験といったところか?

 

最初、バタフライ仮面はこんな話は無視するつもりだった。

 

しかし、学園がこのような無茶な試験をするなど聞いた事は無く、

また自分の知る幾人かの怪盗達にも同様の話が来ているらしい。

 

どうしても気になってしまったのだ。

 

それに、もしかしたら学園には「彼女」が居るかもしれない……。

 

地下には小さな町がすっぽり入るぐらいの空間に建造物がひしめき合っていて、

生徒達が着ている服は学園の制服だろうか?

 

皆同じ怪盗の装束に身を包んだ、体つきから少年少女と分かる集団が

バタフライ仮面を待ち受けていた。

 

しかし、何か様子がおかしい。

 

まるでロボットかゾンビのように喋らず、動作に人間性の欠片も垣間見せず、

彼らは一斉にバタフライ仮面に襲い掛かる。

 

女子生徒女子生徒

こっちよ、バタフライ仮面!

声に導かれ、その場を離脱するバタフライ仮面。

 

声の主は、学園生徒の怪盗装束に身を包んだ少女。

 

それは間違いなく、かつてバタフライ仮面が教えを請うた老怪盗の孫娘だった。

 

女子生徒女子生徒

新しい校長が来てから、学園はおかしくなってしまった。

そう少女は語る。

 

才能ある未来の怪盗達を洗脳した校長の目的とは?

 

その校長にも解けていない怪盗王の宝の秘密とは?

 

バタフライバタフライ

利用されたり試されているようで気に入らないわ。

……けどね。

バタフライ仮面は、怪盗学園の塔の最上階を見上げる。

 

バタフライバタフライ

それ以上にアナタは気に入らないわ、校長さん。