静まり返った夜の校舎。

 

一般的な私立高校であり、実際にそのように運営されている。

 

しかし、この学び舎には、もう一つ裏の顔があった。

 

真っ暗な用具室の床に目を凝らすと、寄木細工のようなパズルがある。

 

聞いた通りにそれを解くと、地下へと続く鉄の扉が現れた。

 

伝説の怪盗王が設立したという「怪盗学園」の噂は耳にしていた。

 

名のある怪盗達の子弟が世界中から集まり、学校に通いながら

一人前の怪盗となるべく厳しい訓練を受けているのだと・・・。

 

その怪盗学園が、この扉の先にある。

 

だが、なぜバタフライ仮面はこのような所に来たのか?

 

決まっている、怪盗が忍び込むのは、いつだって「盗む為」だ。

 

学園から依頼が来たのだ。

 

この学園を救う為に、ある物を盗み出して欲しいと・・・。

 

地下には小さな町がすっぽり入るぐらいの空間に建造物がひしめき合っていて、

皆同じ怪盗の装束(学園の制服だろうか)に身を包んだ、

体つきから少年少女と分かる集団がバタフライ仮面を待ち受けていた。

 

しかし、何か様子がおかしい。

 

まるでロボットかゾンビのように喋らず、動作に人間性の欠片も垣間見せず、

彼らは一斉にバタフライ仮面に襲い掛かる。

 

「こっちよ、バタフライ仮面!」

 

声の主は、この依頼をした少女であった。

 

依頼主に導かれ、その場を離脱するバタフライ仮面。

 

「新しい校長が来てから、学園はおかしくなってしまった」

 

そう少女は語る。

 

「許せないわ。才能ある未来の怪盗達を洗脳するなんて」

 

校長が、3つの宝石の魔力を使って、この学園を支配している事を知ったバタフライ仮面は、

校長がいるという塔の最上階へ・・・。

 

「よく来たな、怪盗バタフライ仮面。だが、私から宝石を奪う事が出来るかな?」

 

「何を言っているの。予告通り、この3つの宝石は確かに頂いたわ」

 

「そ、それはっ!3つとも絶対に分からない場所に別々に隠していたはず・・・」

 

「あ~ら、あんな所が絶対に分からないなんて、笑いが止まらないわ」

 

「か、返せっ!その宝石が無いと大変な事になるっ」

 

「ゴゴゴゴゴ・・・」

 

3つの宝石の魔力によって支えられていた塔は、その魔力を失い、崩壊が始まる。

 

バタフライ仮面は風船で脱出するが、校長は逃げ遅れ、塔と運命を共に・・・。

 

そして、洗脳されていた生徒達は地下から救出され、元の生活へと戻る。

 

いつもなら盗んだ物は持ち主に返すところではあるが、

校長亡き今、3つの宝石はバタフライ仮面の物に・・・。

 

「ありがとう、あなたこそ伝説の怪盗少女よ」

 

新聞のトップを飾る怪盗バタフライ仮面なのであった。

 

怪盗038

イラスト by 蒼茉ゆる