怪盗バタフライ仮面は、今日もお宝を求めて夜の街を蝶のように舞っています。

 

今日のお目当ては、ヨーロッパから展示会用に輸入されたローマ時代の古びた王冠。

 

きらびやかな宝石が散りばめられた王冠は、見る者を魅了する不思議な輝きをまとっています。

 

「幻惑の王冠」の異名を持ち、手にした者へ

至高の幸福を約束するという言い伝えがあるそうです。

 

バタフライ仮面は、鼻歌を歌ってご機嫌です。

 

鼻歌まじりで厳重な包囲網をかいくぐってしまうのですから大したものです。

 

王冠を保管している美術館に侵入したバタフライ仮面は、

警備員が1人になった隙をついて背後から忍び寄ります。

 

そして、ハンカチに含ませた薬をかがせて気絶させ、

その警備員が着ていた制服を剥いで自分が警備員に成り代わります。

 

警備員C警備員C

ごめんなさいね、おやすみなさ~い。

のびた警備員を倉庫に寝かせて、バタフライ仮面は保管庫へ向かいます。

 

保管庫の前には、2人の警備員が立っていました。

 

警備員A警備員A

どうした?

交代の時間にはまだ早いが……。

警備員C警備員C

大変です!

先ほどバタフライ仮面から

幻惑の王冠は頂いたと犯行声明がありました。

急いで中を確認しなくては!

警備員B警備員B

そ、そんなバカな。

俺達はずっとココにいたんだ。

警備員C警備員C

バタフライ仮面は盗みの天才。

人の裏をかく事を得意としています。

一応、確認した方がいいかと……。

警備員2人は、不信感を抱きながらも念のため

何重にも掛けられたロックを1つ1つ解除していきます。

 

そして、全てのロックが解除され、開かれた分厚い扉の先には、

ちゃんと幻惑の王冠が保管されていました。

 

警備員A警備員A

特に問題は無さそうだが……。

警備員C警備員C

いえ、

バタフライ仮面が偽物を代わりに置いていった可能性があります。

ちゃんと確認しましょう。

バタフライ仮面扮する警備員は、王冠が本物であるか手にとって確認しました。

 

警備員C警備員C

確かに本物のようですね。

警備員B警備員B

良かった!

じゃあ、何かの間違いだったんだな。

引き続き気を引き締めて警備にあたろう。

警備員C警備員C

その必要はありません。

警備員A警備員A

どういう事だ?

王冠を手にしたバタフライ仮面は、着ていた警備員の服を脱ぎ捨て正体を現しました。

 

警備員B警備員B

お、お前は、バタフライ仮面!

バタフライバタフライ

ふたりとも、ご協力ありがとう。

幻惑の王冠は確かに頂いたわ。

警備員A警備員A

チッ、騙しやがったな。

コイツを捕まえろーっ!

バタフライバタフライ

そうはいかないわ。

あなた達にも眠ってもらうわ。

先ほどの警備員を眠らせた要領で薬を含ませたハンカチをそれぞれ警備員の顔に投げつけます。

 

警備員B警備員B

うおっ!

強烈な薬の為、2人の警備員は一瞬で眠ってしまいます。

 

バタフライバタフライ

バイバ~イ。

カゼ引かないでね~。

バタフライ仮面は、風船から伸びた縄梯子につかまり、美術館を後にするのでした。

 

怪盗041

イラスト by りるくてぃ