※このお話は、「セイント・シュートで怪盗レパンを倒せ!」の続編です。

女王陛下の首飾りも頂いた事だし、早いとこ、ずらかろう。

待てっ!このレパン様に一撃を加えた罪は重い。償ってもらうぞ。

もう、あんな変な技、こりごりよ。ベーっだ。

レパン様を怒らせた罰だ。喰らえ、サンダーボルト。

きゃあああああーっ!
セイント・シーフは雷に打たれたような衝撃を受け、床に倒れ、動かなくなります。

レパン様、まさか死んでしまったのでは?

な~に、心配するでない。気を失っただけだ。
この娘の身体能力が気に入った。手下として使う事にする。
レパンは、呪文を唱え始めます。
その頃、怪盗バタフライ仮面から予告状が届いていました。

何?「怪盗セイント・シーフを頂きに参ります」だと・・・。
この娘、バタフライ仮面の仲間だったのか。ならば急がねば。
レパンは、セイント・シーフを我が物にすべく、呪文を唱え続けます。
そして、セイント・シーフの体の色が完全に変わり、
あとはレパンの魂を注入するだけとなります。
イラスト by ねもこ様

あと少しだ。あと少しで、お前は私の忠実なる下部となるのだ。
しかし、そこへバタフライ仮面が現れます。

チッ、もう少しだったのに・・・。

セイント・シーフを返してもらうわ。

そうはいくか。こうなったら、お前を先に始末してやる。
まずは、お前の持ち前の運動能力を封じてやるぞ。

その技は、以前、私も苦しめられた技。
でも、同じ技は二度も通用しないわ。

しかし、どうやって防ぐというのだ。
もう一度、あの地獄を味わうがいい。
ルーズ・バランス・イリュージョン。

それなら、私もルーズ・バランス・イリュージョンよ。
お互いに放った幻影がぶつかり合い、相殺され、消えてしまいます。

何ーっ!?どうして、お前が私の技を・・・。

私は物だけでなく、人の技を盗む事も出来るの。
今度はあなたが身を持って、この技の威力を知るといいわ。えいっ!

こっ、この幻影は!目が回って立っている事が出来ん。

どう?あなたにとっては初めての経験でしょう。

おのれ~、このレパン様をこんな目に遭わせるとは・・・。
レパンだけでなく、手下達も術中にハマってしまいます。
そして、その隙にバタフライ仮面はセイント・シーフを救い出します。

セイント・シーフを頂いていくわ。じゃあね~。
レパンの屋敷を脱出したバタフライ仮面は、ひとまず安全な場所に身を移します。

やれやれ、私の忠告を聞かないから、こんな事になるのよ。
ま、あなたがレパンの所へ行く事は最初から分かっていたけどね。

ううう・・・。

かなりレパンのダメージが残っているようね。
しばらくはこのまま寝かせておいた方が良さそうだわ。
その時、レパンの呪文の影響か、仮面の紐が緩み、
セイント・シーフの仮面が剥がれてしまいます。
イラスト by ねもこ様

まぁ、こんな可愛い顔をしていたなんて。
それは、初めて見るセイント・シーフの素顔でした。

まるで、幼き頃に亡くなった私の妹みたいだわ。
その時、セイント・シーフが眠りから覚めそうになります。

いけない。マスクが剥がれたままじゃ。
バタフライ仮面は、急いでセイント・シーフの仮面の紐を結び直します。
そして、セイント・シーフは眠りから覚めます。

あれ?どうしてバタフライ仮面さんがここにいるの?
そうか!私はレパンにやられて・・・。
バタフライ仮面さんが助けてくれたのね。
ごめんね。約束を破っちゃって。

いいのよ。でも、もうレパンの所には行っちゃダメよ。

は~い。もう二度とあんな所には行きません。
こんな目に遭っても常に明るい怪盗セイント・シーフなのでした。